フランスの田舎で暮らす

土野繁樹の歴史散歩

2021-01-01から1年間の記事一覧

 パリは燃えているか?(13) その2

シャンゼリゼ大通りを凱旋行進するドゴールと随行団 1944年8月26日 Aramy 筆者 は『パリは燃えているか?』は、20世紀のノンフィクションの傑作だと思う。この本の「感謝の言葉」を読んでいると、二人の 著者が 3年間をかけて取材した内容に圧倒される。二人…

パリは燃えているか?(12)その1

パリの象徴 エッフェル塔 Wikipedia 今年の夏は4年間にわたるナチスの占領下にあったパリが、ドゴール将軍の自由フランス軍と米軍によって解放された77年目の年になる。2年前の75周年記念日には、国家行事として大々的に行われメディアはパリ解放特集を組…

ノルマンディ上陸作戦の影のヒーロー:MI5の二重スパイ(11)

ノルマンディ・オマハ海岸に上陸する米兵 Robert Cappa撮影 Wikipedia 1944年6月6日、ナチスを打倒するために米英カナダを中心にした連合軍が敢行した、77年前のノルマンディ上陸作戦は史上最大の作戦と呼ばれる。ドワイト・アイゼンハウアー最高司令…

歴史探訪~真珠湾攻撃の狂気の決定(10)

真珠湾上空から米国海軍太平洋艦隊を攻撃する日本海軍の航空隊。 イラスト Wikipedia 筆者は昭和16年に産声をあげたから、真珠湾攻撃の年に生まれたことになる。月日はめぐり、今年はあの奇襲攻撃(1941年12月8日)から72年目になる。大学生にな…

ドルドーニュ便り~アルファロメオ( 9 )

アルファロメオ こちらで暮らしはじめるまで、わが家は車とは無縁だった。結婚以来、共稼ぎで東京と横浜で30年暮らしたが、自家用車を持ったことはなかった。そもそもわたしには、運転免許がなかったのだから持ちようもない。ところが、フランスの田舎への…

ドルドーニュ便り~春が来た(8)

わが家の春景色 やっと長かった冬が終わって、サン・ジャン・ドコール村に待ちに待った春がやって来た。当地で暮らしはじめて一番寒く、毎日のように雨が降る異常な冬が去り、無風、気温20度の正真正銘の春日の今日は心が弾む。納屋から取り出した黄色いデッ…

ドルドーニュ便り~日仏ふたりの飛行家(7)

『わが長距離飛行:パリ―東京』の挿絵 ドルドーニュの田舎道を車で走るのは爽快だ。樫,栗、松などの樹に囲まれた曲がりくねった緑の道を、わが家から15分も走ると、ドアジーさんの館がある。館の正面にある壁は長さ70m、高さは5m、両端に黒い尖塔が…

ドルドーニュ便り~仏ワインを救った米国(6)

ドルドーニュの葡萄 Department de la Dordogne こちらで暮らしはじめるまで、わたしはワインについての知識はほとんどなかった。ボルドーやブルゴーニュと言われてもピンとこなかったし、味についても無頓着な野暮天だった。ところがドルドーニュ県はフラン…

ドルドーニュ便り~旧鉄道路の散歩 (5)

鉄道開通 Histoire de la France rural (Seul)より フランスで初めて乗客をのせた蒸気機関車が走ったのは 、1832 年のリヨン~サン・テティエンヌ間である。上の絵は、当時ののどかな風景だ。パリ~ボルドー間が開通したのは 1853 年、パリ~マルセイユ間が …

ドルドーニュ便り~ディドロの『百科全書』 (4)

16世紀末に建った村の城 「この肖像はどなたですか」と尋ねると「ルイ16世ですよ。8代前のわたしの祖先で将軍だったド・ボモン伯爵が、国王からもらったものです」とマルトニ城の跡継ぎティエリ・ド・ボモンさんは言った。フランス革命でギロチンの犠牲にな…

ドルドーニュ便り〜人生に喝采(3)

サン・ジャン・ドコール村の散歩道で 「会社を辞めて、フランスの大田舎で暮らすことにしたよ」とわたしが友人に明かすと、彼は「君のような都会で忙しい仕事をしていた男が、そんなところへ行くと退屈で死んでしまうぞ」と心配してくれた。大学の後輩からは…