フランスの田舎で暮らす

土野繁樹の歴史散歩

2018-01-01から1年間の記事一覧

マクロンを救え、ヨーロッパが危ない

暴徒によって破壊されたフランスの象徴、マリアンヌ像 AP エマニュエル・マクロンはヨーロッパの救世主だった。リベラル・デモクラシーの旗手として、ポプュリズムの流れに敢然と立ち向い、EU再興のヴィジョンを掲げる、フランスの希望の星だった。その若さ…

ウッドワードが描くトランプの実像

ウッドワード(右)の最新作の表紙 Wikipedia 筆者はウッドワードの最新作“Fear:Trump in the White House”(恐怖:ホワイトハウスのトランプ)が刊行された9月11日、キンドル版で読み始め3日かけて読んだ。これはおどろくべき本だ。 プロローグから仰天する…

魔女の狩人  トランプvs情報機関

The New Yorker 2018・9・3号 Barry Britt この諷刺画は米国のニューヨーカー誌の最新号のカバーである。これは、ロシア疑惑を調査する特別検察官ミュラーが、トランプを追い詰めている光景だ。8月21日は、トランプにとって最悪の日となった。 ミスター・…

英王室に新風 しかし、政治はどん底

ロイヤル・ウェディング ハリー王子とメーガン Gareth Fuller AP 英王室のハリー王子とマークル・メーガンの結婚式は5月のそよ風のように爽やかだった。ブレグジット(英国のEU離脱)で英国民が二つに分裂し、その行く先に暗雲が漂い重苦しい空気が支配す…

英国EU離脱の大誤算

「ヨーロッパにはもううんざりだ」 The Guardian Illustration by R Fresson 筆者はパリから南へ下り500キロ、中世の教会と城があるのどかな村で暮らしている。この国の大多数のコミュニュティと同じように、村役場にはフランスの三色旗とEU旗が掲げられて…

カズオ・イシグロの肖像

Reuter/Mike Segar 「イシグロのノーベル賞記念講演がはじまったわよ」と居間の妻から声がかかった。ストックホルム大学で学び、スェーデンの経済紙「ダーゲンス・インダストリ」の東京特派員だったヤードは、スウェーデン人だからノーベル賞への関心が高い…