フランスの田舎から世界を見ると

土野繁樹の21世紀探訪

司馬遼太郎とドナルド・キーン

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司馬遼太郎        文藝春秋   ドナルド・キーン      Wikipedia

 

中央公論社の二人の対談『日本人と日本文化』は、実に面白い本だ。初版は1972年だから、いまから半世紀前のものだが、内容はさすがである。雄大な構想で歴史と人物を描く司馬と、日本文学の極めてすぐれた研究者であるキーンが歴史的視点を入れながらテーマを語っている。

司馬はこの本の「はしがき」の巻頭で、キーンとの関係は「あの戦争を共同体験したという意味において互いに戦友であった」と言う。この戦友は敵味方を超える、歴史家のそれである。その上、日本文化とは何かが二人のテーマだったから、これほど充実した対談になったのだろう。

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ドナルド・キーンさん ありがとう

 

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縁台で読書するキーンさん ドナルド・キーン「お別れの会」

 

ドナルド・キーン自伝』は彼の84歳の作品である。ニューヨークのブルックリン生まれの天才的少年キーンは、18歳のとき『源氏物語』の翻訳を読んで感激する。その頃、1940年夏、ヒトラーの欧州制覇が破竹の勢いで続いていた。その絶望的な時代に、彼はアーサー・ウェイリー訳の「夢のように魅惑的な」小説を発見する。これは彼がのちに、日本の豊かな文学と文化の紹介者として“世界と日本の間の巨大な橋”を架ける、前人未踏の仕事の第一歩であった。筆者はこの本は文学者の書いた自伝の最高峰の一冊だと思う。

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米中激突 : ニューヨーク・タイムズ紙が伝える

フィリップ・P・パン アジア総局長     写真撮影ブライアン・デントン

西側は中国のアプローチがいずれ失敗するだろうと思っていた。
しかし、それは見事に当てが外れた。そして、今なお待ち続けている。

 

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過去のパワー:長征の制服を着る航空宇宙界の労働者

莫干山会議

 

毛沢東が亡くなり、中国の未来が不確かだった頃、経済学を専攻する学生グルーブが、上海の郊外にある山荘に集まった。それは、共産党に率いられた中国が産業界の巨人になり、破竹の勢いで世界を再編する以前の、遥か昔のことである。莫干山の竹林で行われたその会合で、若い学者たちは「いかにして、西洋に追いつくか」という宿願のテーマに取り組んだ。

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マクロンを救え、ヨーロッパが危ない

 

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暴徒によって破壊されたフランスの象徴、マリアンヌ像                   AP

 

エマニュエル・マクロンはヨーロッパの救世主だった。リベラル・デモクラシーの旗手として、ポプュリズムの流れに敢然と立ち向い、EU再興のヴィジョンを掲げる、フランスの希望の星だった。その若さと知性とカリスマで、21世紀のジョン・ケネディとも言われた。筆者も大いなる期待をもって、この連載エッセイで「マクロン大統領の実像:救国の人か、蜃気楼か」(2017年11月28日号)を書いた。

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ウッドワードが描くトランプの実像

 

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ウッドワード(右)の最新作の表紙              Wikipedia

 

筆者はウッドワードの最新作“Fear:Trump in the White House”(恐怖:ホワイトハウスのトランプ)が刊行された9月11日、キンドル版で読み始め3日かけて読んだ。これはおどろくべき本だ。

プロローグから仰天する。ゲイリー・コーン経済担当補佐官が、大統領執務室の机の上にある署名待ちの、韓国大統領への米韓自由貿易協定の破棄を一方的に通告する手紙を、密かに盗む場面からこの本は始まる。平常なら、これは懲戒免職ものだが、コーン(ゴールドマン・サックス前CEO)は国益のためにやったと胸を張って語っている。

大統領が署名する書類はすべてロブ・ポーター主席秘書官をとうして処理されるのだが、その手紙は何者かによってトランプの机の上に置かれていた。コーンとポーターは組んで、大統領が衝動的に決めた危険な指示を何度もブロックしたという。

ポーターは「自分の仕事の3分の1は、大統領の危険な考えを‘それはあまり良いアイディアではない’と説得することだった」、「毎日、われわれは崖っぷちを歩いている気分だった」と語っている。それは国益を守るための行動だろうが、“行政クーデターであった”とウッドワードは書いている。

トランプは、ホワイトハウスのマシーンは円滑に機能している、と繰り返し言ってきた。しかし、現実はまったく逆で、世界最強国の中枢は、大統領のツイッター政治で大混乱、神経衰弱になっていた、その最大の原因は大統領のパーソナリティと無知にある、とウッドワードは診断を下している。この本はアメリカ国民への警告の書だ。

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魔女の狩人  トランプvs情報機関

 

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The New Yorker 2018・9・3号            Barry Britt

 

この諷刺画は米国のニューヨーカー誌の最新号のカバーである。これは、ロシア疑惑を調査する特別検察官ミュラーが、トランプを追い詰めている光景だ。8月21日は、トランプにとって最悪の日となった。

ミスター・フィックサーと呼ばれた、トランプの個人弁護士マイケル・コーエンが、ボスが性的関係をもった二人の女性、モデルとポルノスターへの口止め料を、選挙前に大統領の指示で支払ったと、裁判で宣誓証言したからだ。そのカネはトランプの選挙本部からでているので、これは選挙法違反となり、大統領が罪を犯したことになる。

その日の裁判でコーエンは、脱税、銀行詐欺でも有罪を認めたので、法律的には65年の監獄入りとなる。これでは破滅だと、彼は検察と司法取引をして口止め料に関して事実を認め、最大で5年3か月の刑で手を打ったようだ(判決は12月)。トランプの秘密を知る立場にあったコーエンが、大統領の脱税などをしゃべるとさらに問題は大きくなる。

その日、トランプはダブル・パンチを浴びている。というのも、トランプの選挙対策本部長だった政治ブローカー、ポール・マナフォードが、これまた脱税と銀行詐欺で有罪判決を受けたからだ。彼は9月に再び、外国エージェント登録法の違反容疑などで裁判にかかるが、有罪判決がでると禁固240年の判決の可能性もある。ロシア疑惑の核心を知ると思われているマナフォードは、減刑を求めてミュラーと司法取引をして、トランプに不利な証言をするかもしれない。これら二人の“知りすぎた男”のわが身可愛さの謀反はトランプには脅威だろう。

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英王室に新風 しかし、政治はどん底

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ロイヤル・ウェディング ハリー王子とメーガン         Gareth Fuller AP

 

英王室のハリー王子とマークル・メーガンの結婚式は5月のそよ風のように爽やかだった。ブレグジット(英国のEU離脱)で英国民が二つに分裂し、その行く先に暗雲が漂い重苦しい空気が支配するなか、久しぶりの明るい出来事だった。それも王室の人気者ハリーと魅力的なアメリカ人女優メーガンの婚礼だから、英国だけでなく世界中の関心を集めた。この華麗な儀式とパレードのテレビ視聴者は20億人というから、英王室は最高のソフトパワーである。

国籍は米国、人種は白黒混血、そのうえ離婚歴があるメーガンを,血統と格式を重んじる英王室が家族の一員に迎えたのは革命的なことである。ウィンザー城内の教会で行われた結婚式は、アメリカの黒人主教マイケル・カリーが愛について型破りの説教をし、黒人作詞・作曲家ベン・キングのStand by me や黒人霊歌が唄われるという極めてアフロ・アメリカ色の濃いものだった。英米は歴史的に“特別な関係”にあると言われてきたが、英国民の大多数はトランプを嫌っているから、関係はぎくしゃくしている。しかし、その日、ハリーとメーガンは英王室とアメリカの黒人社会を、真に親密な関係に結んだのである。

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